38式軽駆逐戦車 ヘッツァー(Sd.kfz.138.2)

説明 展示博物館
 1943年11月にV号突撃砲を生産していたアルケット社の工場が爆撃を受け、V号突撃砲の生産が停止した為に、代価の生産施設としてBMM社にて生産できるか調査された。
しかし、BMM社では生産が不可との結果が出され、替わりに38(t)車体をベースに用いた突撃砲が提案された。
本来は突撃砲として開発された車輌だが、砲兵総監と機甲兵総監(グデーリアン将軍)の間で争われ、結果「駆逐戦車」に分類される事になった。
(分類が突撃砲であれば砲兵科の管轄、駆逐戦車であれば機甲科の管轄になる)

 傾斜した装甲を持つ小型軽量で高機動(時速55〜60km)の軽駆逐戦車として開発される事になり、 試作に終った新型38(t)戦車の部品を一部流用し、38(t)戦車の幅を広げた車体に75mmPak39を右寄りに車体上に機銃(車内から操作可能、ただし弾倉の交換は車内からは不能)を搭載し、前面装甲60mmを傾斜(60度)させた駆逐戦車として完成、しかし重量が増えた事から最大速度は予定より遅い40kmとなった。
44年3月に先行量産車3輌が完成してテストされ、これまでに各種の派生車輌が作られて熟成されていた為か、特に技術的な問題点が無く(使い勝手の問題点は有る)直ちに量産される事になった。
ただ、小型の車体に無理やり詰め込んだ所為で砲が左5度〜右11度しか旋回できない事や、戦闘室が狭く乗員が車体左側に並ぶので敵弾を喰らったら一発で全員死傷する可能性がある事等欠点が無かった訳ではない。
側面装甲が薄く3000m程度からの砲撃ですら貫通されたが、以前に38(t)車体で作られていた戦闘室がむき出しの自走砲よりは榴弾を防げるので遥かにマシである。
また、ソ連戦車相手には少し荷が重いが、米英戦車相手なら(正面向いてたら)充分対抗可能であった。

 開発中の44年1月には「1945年3月までに月産1000輌を達成する事」と決定され、BMM社及びシュコダ社にて月産500輌ずつの生産目標が出された。
そして3月よりBMM社で、シュコダ社で7月から生産が開始されたが、それ以前にBMM社の車輌生産は最大で月産151輌だし、シュコダ社に至っては試作車を除いてドイツ軍の装甲車輌を生産した経験が皆無。
しかも、後には工場が爆撃を受ける事になり、生産数は45年1月の両社併せて月産434輌が最大であり、とても目標の達成は無理であった。

 同じく開発中の43年12月に最終生産型に駐退復座装置を省いた砲を固定式に搭載したシュタール型を生産する事が決められ、通常型より車体中央寄りに砲を装備した車輌として製作された。
44年中頃に完成してテストされたが不具合が多発した為に量産開始を45年4月20日に延期、試作された車輌も敗戦直前に通常型のパーツとして部品を流用された。
もしかすると駐退復座装置を省いた為に何らか信頼性に欠ける所が有ったのかも知れない。
(「大砲と装甲の研究」のいちのへさんに尋ねた所「駐退復座装置が無い場合は反動がもろに車体に掛かるので、各部を頑丈にする必要がある」との事)
また、45年3月には燃料事情の悪化によりディーゼエンジンへの換装が提案されたが、戦況の悪化により生産を停滞させる訳にもいかず計画だけで終った。

なお、本来「ヘッツァー(勢子)」の名称は終戦の為に計画のみに終ったE−10(部品を可能な限り共有させるEシリーズで予定された10t級駆逐戦車)の物だったが、それをBMM社が自身が開発中の車輌の名称と勘違いした為、44年12月に事後承諾として38式軽駆逐戦車の愛称に決定した。

派生型に、38(t)式自走重歩兵砲(sIG auf JagdPanzer38)と38式火炎放射戦車(Flamm Pz38)・戦車回収車が有る。

大戦中ドイツ以外ではハンガリー及びルーマニアに送られる予定だったが、ルーマニアには送られずにハンガリーのみで使用された。

戦後にチェコで生産された物がスイスでG-13として制式採用された。
ただ、生産にあたって車内レイアウトが変更されたのと、チェコではヘッツァーの主砲であるPaK39が生産されてなかった為に3号突撃砲用のStuK40が装備された。
現存するヘッツァーはこのG-13が大半である。
一応見分け方としてG-13は主砲先端にマズルブレーキが有る、上部のリモコン機銃の代わりに装甲カバー付き旋回式ペリスコープを装備、さらに側面に予備転輪と予備履帯を装備している。
のだが、G-13のそれらのパーツを排除してヘッツァーとして展示している博物館も有る。
G-13外見上の特徴
マズルブレーキ付き 旋回式ペリスコープ
予備転輪 予備履帯

38式軽駆逐戦車 全長 6.38m 幅 2.63m 高さ 2.17m 重量15.75t 最高速度 時速42km
       装甲 前 60mm 横 20mm 後ろ 8mm
ボービントン戦車博物館

ムンスター戦車博物館

ジンスハイム交通技術博物館

ソミュール戦車博物館

ダックスフォード
帝国戦争博物館

アバディーン戦車博物館

パットン戦車博物館

ブリュッセル
王立軍事博物館
画像はボービントン戦車博物館にて撮影したヘッツァー
画像はダックスフォード帝国戦争博物館別館にて撮影したヘッツァー
画像はパットン戦車博物館にて撮影したヘッツァー
画像はアバディーン戦車博物館にて撮影したヘッツァー
画像はムンスター戦車博物館にて撮影したヘッツァー(G-13を改造したらしい)
画像はソミュール戦車博物館にて撮影したG-13
画像はジンスハイム交通技術博物館にて撮影したG-13
これも画像はジンスハイム交通技術博物館にて撮影したG-13
画像はブリュッセル王立軍事博物館にて撮影したG-13

戻る

戦車いろいろへ

軍事関係へ

トップへ